数学を教えていると、見慣れた問題はスラスラ解けても、たとえそれが学習した範囲の内容であっても、馴染みのない出題方法にたじろいでしまって、考えることさえ躊躇してしまう生徒さんがいるものです。
それは生徒さんのだけの責任ではなく、数学を教える側の責任でもあります。数学の学習で「考える力をつけよう」とはよく言いますが、ではいったいどのようにすればいいのか、その方法を教えてくれる人はなかなかいません。
ここでは次のような思考問題を解いてみて「考える力」のひとつを紹介します。
【問題】
あなたの前にひとつの天秤(てんびん)と9枚の金貨があります。金貨は、見た目はすべて同じですが、1枚だけ偽物が入っています。この偽物の金貨は本物の金貨より軽いとわかっています。
天秤を使ってどれが偽物か調べたいのですが、てんびんは2回までしか使えません。
さて、どのようにしたら偽物の金貨をみつけられますか?
それでは考えていきましょう。
問題を読むと特別な数字に気がつきます。それは、すべての金貨の枚数「9枚」と偽物の金貨枚数「1枚」と天秤の使用回数「2回」です。
これらの数には特別な意味があるはずです。この問題に答えがあるとすれば、この数字でなければ解けないということでしょう。
このように考えるポイントのひとつは、その問題に含まれている特異性に気づくことです。それには大きな意味が含まれているはずです。ここで特に気になるのは「9枚」の「9」という数です。なぜ「9」なのでしょうか?
「9」と聞いて思い出すのは「3で割れる」ということではないでしょうか。では9枚ある金貨を3っつのグループに分けてみましょう。するとそのグループごとにまた「3枚」の「3」という数字が登場しました。
次に考えるのは「なぜ天秤なのか」と言う点です。一般的に天秤は「2つのものを比べるもの」と考えられています。しかし先ほどから登場するのは「3」という数で「2」ではありません。
これがこの問題を解くためのキーポイントだと気づく必要があります。超えるべきポイントが見えなければ考えることもできません。
この問題では「本当に天秤は3つのものは比べられないのか」というのがキーポイントです。このような問題を考えるときには常識が邪魔をしているものです。この常識に囚われず自分の頭の中で思考実験をしてみることがとても大切です。
確かに天秤には2っつのものしか載せられません。しかし3つのものがある場合、載せなかった残りの1っつが存在することに気づきましょう。
では答えです。
最初に9枚の金貨を3枚ずつ3つのグループに分け、そのうちの2つグループを天秤に載せます。上がった方のグループに偽物の金貨が含まれていますが、釣り合った場合には載せなかったグループの中に偽の金貨が含まれています。
つぎに偽物の金貨が入ったグループから2枚をとり出し天秤に載せます。上がった方の金貨が偽物ですが、釣り合った場合は載せなかった金貨が偽物です。
このように「考える力」のひとつは、全体で考えるのではなく問題を細かく分解して考えられることです。その分解に役立つのが特別な数字の存在です。きっとその数字には重大な意味が含まれているのです。
教師Mより
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