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芥川賞・直木賞って何が違うの?受賞者のメリットと過去作品について紹介!
2022年06月29日
皆さんは、よくニュースや書店で「芥川賞・直木賞受賞!」と目にしたことがありますよね。もっとも優れた作品を書いた者に与えられるこのふたつの賞。
しかし実際、どんな人に与えられる賞なのか意外と知らない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、芥川賞・直木賞について簡単にご紹介していきます!
芥川賞(芥川龍之介賞の略)は、もっとも優れた純文学を書いた新人に与えられる賞のことです。
純文学とは、「文体の美しさ」や「表現の美しさ」を重視した、いわゆる芸術性の高い文学のことを指します。芥川龍之介の作品といえば、『蜘蛛の巣』や『羅生門』など、皆さんも学校で読んだことのある作品ではないでしょうか。
短編小説を得意とし、独創性のある作品を多く後世に残してきた芥川龍之介からその名がつけられました。
新人賞といってもデビュー前の作家が限定されるわけではありません。芥川賞は、雑誌に掲載された作品が選考対象となります。つまり、すでに公募型の新人賞を受賞したデビュー作、または編集者のスカウトによって掲載が決まった作品ということになります。
直木賞(直木三十五賞の略)は、無名作家、新人または中堅作家の中からもっとも優れた大衆文学を書いた人に与えられる賞のことです。
大衆文学とは、読者が作品を読んで「楽しい」と思えるようなエンターテインメント作品のことをいいます。
例えば、推理小説やSF小説、恋愛小説のほか、冒険小説などがそれに当てはまります。小説、脚本、映画監督など、「娯楽性」を重視する作品を多く残してきた直木三十五からその名がつけられました。
どちらの賞も、文藝春秋の初代社長である菊池 寛氏 が創設しました。
原則として、ひとつの作品で両方の賞を受賞することはできず、どちらかの賞で受賞が決まった場合、もうひとつの賞の候補からは外れる、といったルールがあります。両方の賞を受賞した作家がいないのはそういうことだったのですね…。
芥川賞、直木賞ともに、例年男女問わず複数の著名作家たちが議論を重ね受賞作品を決めているそうです。
芥川賞、直木賞ともに受賞された方には、正賞に懐中時計、副賞に賞金100万円が贈られます。
なぜ、正賞には賞金よりも懐中時計が贈られるのか気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その理由は2つ。
1、記念に残る品物であるべきと考えたから
2、当時、高級品であった『懐中時計』を質に入れて受賞作家の生活の足しにしてもらうため
当時、比較的貧しい生活を送る作家は少なくありませんでした。
創設者である菊池寛氏は、そんな作家のために正賞として『懐中時計』を贈ることに決めます。
一般市民が手にすることすら難しいほど高価だった懐中時計は、記念品として形に残るものでもあり、生活に困ったときには質入れ品としてお金に換えてもよいと考えられていたそうです。
自身の名と受賞した日付が刻印された「世界に一つだけしかない懐中時計」は、金額で表せないほどとても価値のある記念品ですよね!
ほかにも、各賞に受賞された作品は書籍や雑誌の掲載に掲載され、一躍時の人として今後の執筆活動も大いに期待されることとなるでしょう。
では、実際に2021年の下半期に受賞した作品についてご紹介していきます。
砂川文次氏『ブラックボックス』
<作品紹介>
ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。
自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。
昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。
張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。
気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
(公式紹介文より抜粋)
今村翔吾氏『塞王の楯』
<作品紹介>
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
(公式紹介文より抜粋)
米澤穂信氏『黒牢城』
<作品紹介>
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。
織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。
事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。
(公式紹介文より抜粋)
芥川賞、直木賞ともに発表されるのは1月と7月の年2回。
前回の2021年下半期は、2022年1月19日に発表されました。この7月に行われる表彰式には一体どの作品が受賞するのでしょうか。
皆さんも、ぜひどの作品が受賞されるのか予想してみてくださいね!