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受賞者は学生と蛙飛び⁉学者じゃなくても知りたいノーベル賞の雑学

2022年09月28日

 

毎年10月初旬に発表されるその年のノーベル賞受賞者。テレビや新聞でも取り上げられるニュースですが、そもそもノーベル賞はどんなきっかけで始まったのでしょうか?

今回はノーベル賞の由来や受賞した日本人について紹介します。

はじまりは一人の発明家の遺言

ノーベル賞はダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まりました。ノーベルはスウェーデンの発明家・企業家で、ダイナマイトをはじめとするさまざまな爆薬の開発・生産によって巨万の富を築きました。しかしその富が爆薬や兵器の製造によって築かれたことから、世間から批判を浴びることもありました。

 

自分が死後、人々にどのように憶されるかを考えた彼は「資産を人類のために最大たる貢献を果たした人々へ分配する」という遺言を残しました。その後、彼の遺志を継いでノーベル財団が設立され、1901年に第一回ノーベル賞が行われました。

受賞者は決めてるのは誰?

ノーベル賞は物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5つの分野で多大な功績を達成した人に授与されます。

 

選考は「物理学賞」「化学賞」の2部門についてはスウェーデン王立科学アカデミーが、「生理学・医学賞」はカロリンスカ研究所が、「平和賞」はノルウェー・ノーベル委員会が、「文学賞」はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

ノーベル賞の行事

授賞式はノーベルの命日である12月10日に行われます。「平和賞」を除く4部門はスウェーデンのストックホルムにあるコンサートホールで、「平和賞」はノルウェーの首都オスロの市庁舎で開催され、受賞者には賞金の小切手、賞状、メダルが贈られます。

 

授賞式終了後、平和賞以外はストックホルム市庁舎で晩餐会が行われます。

晩餐会にはスウェーデン王室をはじめ、大臣、海外賓客や、抽選券を購入して当選した大学生などの一般市民を含み、約1300名もの多くの人が参加します。

 

ドレスコードは燕尾服もしくはナショナルドレス(民族衣装)であるため、川端康成や本庶佑など、日本人の受賞者の中には紋付羽織袴で出席した人もいたようです。

 

受賞者は受賞後にノーベル・レクチャーと呼ばれる記念講演を行うのが通例で、学生や一般市民が世界最高峰の頭脳に触れることができる貴重な機会となっています。

 

講演後には大学生の有志団体が懇親会を開き、『かわいいカエルちゃん』というスウェーデン民謡にあわせて受賞者と学生が「蛙飛び」をする儀式が恒例となっています。

この蛙飛びは受賞者のさらなる飛躍を願う意味が込められていて、蛙飛びを披露した受賞者には「蛙勲章」が贈られるそうです。

世界2位の受賞者数

1901年から始まり2021年に至るノーベル賞の歴史の中で、日本は非欧米諸国の中で最も多い29名の受賞者を輩出しており、21世紀に入ってからでは、自然科学部門の国別で日本は米国に続く世界第2位のノーベル賞受賞者数となっています。

 

日本人で初めてノーベル賞を受賞したのは、1949年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹です。受賞理由となった「中間子理論」は、長年、研究者たちの間で課題となっていた原子核の中にあるプラスの陽子同士が結びつく理由を明らかにしたものです。

 

これまでの受賞者のほとんどは大学教授などの研究者ですが、1973年にIBMの技術者であった江崎玲於奈が物理学賞を受賞。2002年に島津製作所の技術者であった田中耕一が化学賞を受賞。2014年に青色LEDの開発で赤﨑勇、天野浩と共に物理学賞を受賞した中村修二も、日亜化学工業在籍時の高輝度青色LEDの発明・実用化が理由となりました。2019年には旭化成に在籍している吉野彰がリチウムイオンバッテリーの開発で化学賞を受賞するなど、民間企業在籍の研究者も多く受賞しています。LEDやリチウムイオンなど、いまでは私たちの暮らしに身近な製品の開発にもノーベル賞が関係していたのですね。

 

2021年の受賞者は物理学賞で受賞した眞鍋淑郞(まなべしゅくろう)です。受賞内容は“気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測”です。

 

世界的課題となっている地球環境に関する研究ですね。ノーベル賞の対象も、人類を取り巻く状況の変化によって、変わってきているのかもしれません。

過去の受賞分野

今までに日本出身者でノーベル賞を受賞した人は29人います。

 

物理学賞 12人

化学賞  8人

生理学・医学賞 5人

文学賞  3人

平和賞  1人

 

この中で、実は女性の受賞者はまだ一人もいません。研究活動ではひとつの研究に長い年月を費やすこともあります。もしかしたら今までは、結婚や出産などさまざまなライフステージの変化によって、女性が研究を続けられる環境がなかなか整っていなかったのかもしれません。これからの社会では、家庭での役割を性別により課せられることなく、家族や社会が助け合うことで、男女問わず多くの研究者にとって、よりよい研究環境が整えられるといいですね。

 

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