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遊びのつもりでも要注意!中学生なら知っておきたい「罪」と「法律」

2023年12月06日

昨年、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、18・19歳の人は社会においての責任と役割を果たすことが期待される立場になりました。それにあわせて、令和4年4月1日から少年法の一部も改正されました。18・19歳の年長少年を「特定少年」と位置付けたうえで、成人と同じ刑事手続きを行う事件の範囲を拡大するとともに、起訴された後は少年の実名報道が可能となりました。(少年法では、男性も女性も未成年者であれば「少年」とします。)

 

少年法はこれまでにも、重大特異な少年事件の発生を契機としての刑事処分可能年齢の16歳から14歳への引き下げ(2000年一部改正)や少年院収容可能年齢の14歳からおおむね12歳以下への引き下げ(2007年一部改正)、少年事件被害者への配慮、対応の充実という観点からの被害者等の少年審判傍聴制度の導入(2008年一部改正)等、度々改正が行われており、自分の行いに対して責任を負うべき年齢が低年齢化しています。

 

そこで今回は、10代の皆さんに知っておいていただきたい、「刑法」と「少年法」についてご紹介します。“知らないうちに法律に触れる罪を犯して犯罪者になってしまっていた!”などということにならないように、法律について学んでいきましょう。

これをやったら犯罪です!【刑法】

刑法とは、国民が安全な生活を守るためのルールで、何をしたら罪になるか、そしてその犯罪に対する刑罰が書いてあります。刑法は、日本国内で罪を犯したすべての人に適用し、日本に来ている外国の人も日本の法律を守らないといけません。

 

罪を犯そうという意思がなかった場合は罰せられませんが、法律を知らなかったからといって、罪を犯そうという意思がなかったと主張することはできません。だからこそ、どんなことをしたら刑罰の対象になるのかを知っておくことが大切です。

遊びのつもりでも要注意!「犯罪」になるケース

学校生活の中で、友達とふざけてやってしまったことでも「犯罪」になることがあります。刑法に触れるケースをみてみましょう

 

・多くの人達の前で人を馬鹿にする。(侮辱)

・悪口を言ったり、嘘の評判を広める。(名誉棄損)

・人をおどして何かをさせる。(強要・脅迫)

・人に乱暴な行いをする。(相手がケガをしなくても暴行)

・ケンカや暴力行為が行われている現場で、はやし立てる。(現場助勢)

・線路に物を投げ入れるなど、鉄道の運行に影響を及ぼすいたずらをする。(往来危険)

・道路や橋を壊したり、通行の邪魔をする。(往来妨害及び同致死傷)

 

これらはすべて、「刑法」に違反する犯罪です。

“法律に違反しても、未成年なら罰せられないんでしょう?”と思う人が多いかもしれません。

現在の日本の法律では、14歳未満の子どもには刑事責任はないとされ、法律上、罪に問われることはありません。これは、将来ある子どもたちに反省してやりなおしてもらうチャンスを与えるために、刑罰よりも教育を与えようという考えからです。しかし、14歳未満だからといって、罪を犯しても許されるというわけではありません。必要に応じて、警察が事件の調査を行い、14歳以上は大人と同じ罰を受ける場合もあります。(大人と同じ重い罪を犯した際、子どもは大人と比べると刑罰が軽くなりますが、17歳以下の少年には、最長15年以下の範囲で懲役5年以上10年以下が言い渡されるケースもあり、決して軽い刑罰ではありません。)

 

つぎに、未成年者が罪を犯したときにどのような手続きが行われるのかについて、詳しく説明していきます。

子どもにやり直すチャンスを!「少年法」

子どもが悪いことをするのは本人のせいだけではなく、貧しさや、周りの大人たちのせいであることも多いです。たまたま不運な環境に生まれ育ち、罪の意識なく法を破ってしまった子どもに重い刑罰を与え、将来のために必要な教育を受ける機会を奪ってしまうことは、その子どもが本来もっている将来の可能性を奪い、再び犯罪をしてしまうことになりかねません。

 

そこで、この「少年法」という法律ができました。少年法は、未成年者が法律を破る行為をしたときに、自分のした罪を反省させ、教育を受けさせ、または子どもを取り巻く環境を調整して、子どもにやり直すチャンスを与えるための細かいルールが決められています。

 

少年法では、同じ罪を犯したとしても、「14歳以上」「14歳未満」では対応が異なります。

 

14歳以上

逮捕されると、警察官の捜査を受けることになり、その結果犯罪の事実がある可能性が高いと判断されれば、検察官に事件が送致されます。

 

軽微な事件であればその場で釈放されますが、事件が重大だったり、住所不定や逃走や証拠隠滅のおそれがある場合には、警察署の留置場に勾留されることになります。

 

14歳未満

逮捕されると、警察官の調査の後、児童相談所に事件が送致されます。14歳未満の少年については、強制的要素の少ない福祉的な対応に委ねる方が適切だと考えられており、まず児童相談所にいくことになります。その後、児童相談所の判断によって、次の2つのパターンに分かれていきます。

 

・そのまま児童相談所で指導を受け続ける

・重大な行為による事件の場合、14歳以上の少年と同様に、家庭裁判所に送致されて審判を受ける

 

※14歳未満であっても、事件が重大であったり、その子の問題性が大きい場合などについては、少年院に送致される可能性は十分にあります。

 

少年院は、子どもたちに生活態度を改めさせ、反省を促し、社会でいきていくことができるように教育したり、支援したりする施設です。また、少年法第61条により、罪を犯した少年の氏名・年齢・住所・写真など、個人が特定されるような情報を新聞に掲載してはならないことになっています。

 

少年法では、あくまでも、子どもは教育によって変われるという考えの基、大人になってからの生活を守るための仕組みがあります。しかし、若年層によるSNSの利用が常態化した現代では、たとえテレビや新聞などのメディアが罪を犯した少年の個人情報を掲載しなくても、身近な人によりSNS上に個人情報を晒される場合もあり、少年の将来に影響を及ぼすリスクが付いて回ります。

 

周りの人を傷つけないためにも、自分と家族の将来のためにも、気軽な気持ちで犯罪に手を染めることがないように、法律を知り、さまざまなデマ情報に振り回されないように、状況を冷静に見極めることを意識することが大切です。

 

私たち大人は、子どもが何かに悩んだり不安を感じたりしたときに話を聞いてあげられるように、できるだけ気持ちにゆとりをもって子どもたちに接するように心掛けたいですね。

 

参考:「こども六法」弘文堂/著者:山崎総一郎

    ハーフオープン相談室

    京都産業大学

   

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