KATEKYO知恵袋
中学生に増える友だちの悩みの解消法と一生使える人づきあいの力
2024年04月03日
“小さい頃は簡単に友だちになれたのに、最近友たちを作るのが難しくなった気がする”と感じることはありませんか?中学生になると、友だち関係が複雑になり、人間関係に悩むことが多くなるようです。
どうして中学生ぐらいになると、友だちの悩みが増えるのでしょうか?
それは、からだの成長だけでなく、脳もどんどん成長して考える力がつき、人との関係性が変化するからです。脳の成長によって10歳ぐらいから自我、自意識が発達してきて、「自己」と「他者」という認識が強くなってきます。
自分の性格や容姿を気にするようになり、「他の人から自分がどう見られているのか」に過敏になります。他人と自分を比べるようにもなり、人をうらやむ気持ちやねたむ気持ち、自分のほうが優位だとアピールしたい気持ちも湧いてきます。複雑な感情が混ざり合い、友だちづきあいも単純ではなくなってくるのです。
大人への成長がはじまったばかりの10代は、みんなまだ「大人のつきあい方」の初心者で、不慣れで未熟です。未熟な者同士なので相手の気持ちを考えられずに、不用意に傷つけてしまい、摩擦が起きることもあります。だからといって、“めんどくさいから友だちはいらない”と、友だちをつくるのを諦めないでください。いろいろな状況に直面して工夫し、経験値を積むことで、人づきあいに慣れていくことができるからです。10代のうちは「人間関係の経験値を積む練習期間」と思って、深刻に悩みすぎないようにしましょう。
みんなが初心者であるこの時期にさまざまな経験をすることが、社会に出てから人間関係をつくっていくときにも役立ちます。そのために、10代から身につけたい「友だち力」を紹介します。
①「気の合う友だちをつくる」力
②「気の合わない相手ともうまくつきあう」力
③「ひとりを楽しめる」力
まずは自分が気になるもの、好きなものを大切にしてください。趣味といえるものでなくても、日常で“いいな!”と思えるものなら、漫画でも、食べ物でも、よく見るYouTubeチャンネルでも、なんでもいいんです。「好きなものが同じ」というきっかけがあれば、共通の話題が弾み、共感しやすく、気の合うともだちができやすくなります。
大人になってから求められるコミュニケーション力とは、仲のよい友だちをたくさんつくる能力ではなく、いろいろな人がいるなかで、どんな相手ともうまくつきあっていける能力です。人とおだやかにつきあっていくという資質は、一生必要とされます。
どこででも人とうまくつきあえる人のことを「協調性がある」「社会性がある」といいますが、協調性とは、まわりにあわせて同じように同じことをすることではありません。その場の状況を推察し、自分が何をすれば全体がもっとよくなるのかを考え、行動できることをいいます。このような能力はすぐには身につかないかもしれませんが、部活動や文化祭の準備など、合同で何かに取り組むときは、自分の好き嫌いをひとまず脇に置いて“みんなの目的をよりよい形で実現するためには、自分はどうすればいいだろう?”という視点で考えてみてください。
“休み時間に一緒に過ごす友だちがいなくて、学校に居場所がない”“仲良しグループのつきあいがすごく疲れる。でも、嫌われてひとりぼっちになるのは嫌だから、がんばって調子をあわせてる”こんな悩みを持っている人は多いようです。
人の心には、ひとりでいることが気にならないときと、寂しく感じるときと両方があります。自分の意志でひとりになっている状況なのか、人との関係性のなかで、ひとりにさせられてしまっている状況なのかの違いです。自分の意志ではなく「ひとりにさせられている」と感じる状況に置かれると、さびしさや不安が湧くのです。“嫌われるのが怖い”“ひとりぼっちになるのが怖い”という思いの強い人は、その「受動的ひとりぼっち」状態への不安がとても強いのです。
では、どうすればひとりになることを怖がらないようになるのでしょうか?それは、「能動的ひとりぼっち」になればいいんです。「能動的」というのは、自分で自発的に行動することです。それには、まずはひとりで過ごす時間を充実させることから始めてみましょう。本を読んだり絵を描いたり、動物の世話をしたり、好きなことや気軽にチャレンジできることをいろいろ試してみてください。そのうちに、いままで気づかなかった「自分の好きなこと」を発見できるかもしれません。好きなことを楽しみ、ひとりでも充実した時間を過ごせることを実感できると、自分に自信が持てるようになり、ひとりになることへの不安が薄れてきます。また、ひとりの時間を過ごすことは自分自身と向き合う時間でもあります。「自分はどうしたいのか」「どうなりたいのか」「なにが嫌なのか」を自分に問いかけ、自分の心に耳を澄ませることは、「自分について深く知る」ことにつながります。
友だちとは、環境や状況が変われば付き合い方も変わる、とても流動的なものです。
そのときどきで、友だちは変わっていっていいんです。一緒にいて楽しい人、気持ちの通じ合う人が友だち。気の合わない人と無理してつきあって友だちの数だけ増えても、数の多さは友だち関係の豊かさを示すものではありません。「みんな友だち」でなくてもいいんです。気の合う人ともあまりあわない人ともうまくつきおうとするから、無理したり我慢したりして、苦しんだり悩んだりすることになります。気の合わない相手とは「知り合い以上友だち未満」くらいの距離感で浅くつきあえばいいと思えば、すこし心が軽くなるのではないでしょうか。
“友だちができても、しばらくするとみんな離れていってしまう”そんな悩みを抱えている人はこちらの項目を読み、当てはまる言動を自分がしていないか思い起こしてみてください。
・「友だちだから言うけど…」
友だちに非難や批判をぶつけていませんか?親しい友だちだったらストレートな感情をぶつけていいということはありません。どんなに親しい関係でも、言い方ひとつで傷つけてしまうのです。
・「でも」「だけど」
深い意味はなくても、相手の意見を否定する言葉が口癖になっていませんか?言っている方は無意識だとしても、相手の話を遮ったり、否定したりしていると、受け取り側は自分が否定されたような気持になります。とくに、相手が好きなものを否定するのはダメです。
・「すぐにムキになる」
気に入らないことがあると、すぐにムキになる。自分の思うようにならないと、ムッとしてスネる。感情の起伏をすべて表に出してしまうと、「めんどくさくてつきあいにくい人」と思われてしまいます。誰しもうれしいこと、嫌なことはあるものですが、怒りの感情をまわりにまき散らすのは控えるようにしましょう。
ほかにも、人をイラつかせやすい言動には次のようなものがあります。
・人の意見を聞かず、「これじゃなきゃダメ」「これ以外は絶対にイヤ」と自己主張が激しい
・口が軽い。他人の秘密を平気で言ってしまう
・ケンカ体質で、すぐに人と衝突する
・「私なんか」「こんな自分」と自分を卑下するようなことばかり言う
・主体性がなく、「なんでもいいよ」「どこでもいい」と自分の意思表示をはっきりさせない
いかがでしたか?もし、自分にたくさんあてはまってしまっても大丈夫。自分の言動は自分次第で変えることができます。毎日寝る前に自分の言動を振り返ったり、繰り返し頭に思い浮かべ、心に留めるようにして改善していけば、きっといい友だち関係が築けるようになるはずです。
参考:「友たちってなんだろう?」齋藤孝