KATEKYO知恵袋
小学生のSNS関連の犯罪被害が過去最多!よくあるトラブルと対策
2024年07月03日
警察庁の発表により、2023年1年間で、SNSがきっかけで犯罪被害に遭った小学生の数が過去最多の139人に上ったことがわかりました。この人数は10年前と比べて5倍以上となりました。さらに、注目すべきは“小学生の性被害など重要事件の被害が大幅に増加したこと”です。そこで今回は、SNS利用を起因とした犯罪やトラブルから子どもを守るために、小学生を取り巻くSNSトラブルの実態や、保護者が気をつけたいポイントなどをご紹介します。
小学生の被害が急増している背景には、インターネットやスマートデバイスの普及に伴い、子どもたちがSNSを利用する機会が増えていることがあげられます。
被害を受けた小学生は、8歳から12歳までで、高学年になるにつれて増加傾向にあります。最も多かった犯罪は児童ポルノで、続いて不同意性交等、不同意わいせつと、性被害が目立ちます。また、小学生が容疑者と知り合ったSNSのうち、18%がオンラインゲーム経由でした。
大人が小学6年生の女児を装い、小学4年生の女児とゲームアプリのチャット機能を介して交流。性の悩みを話題にし、わいせつ画像を撮影・送信するよう誘導した事例もあります。子どもが自分のプロフィール紹介や友達募集などの投稿から、意図しない形で性被害に巻き込まれるケースも目立つことから、保護者は、子どもが知らず知らずにリアルな友人以外と繋がりをもっていないか注視する必要があります。
セキュリティ会社のALSOKが、2018年6月から2019年3月にかけて全国の小学校クラス担任教諭を対象に行った「第4回担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査」では、小学生の身の回りにあるインターネットトラブルの実態が見て取れます。
「担当のクラスに実際にネットトラブルに遭遇したことのある児童は何人いますか?」という質問に対する回答では、実際にインターネット上でトラブルに遭った小学生は、全生徒2万1670名のうち86名でした。この数字は小学生250人に1人の割合で実際にインターネット上のトラブルに遭遇していることを示しています。さらに、トラブル遭遇率は高学年になるほど高くなり、低学年では約1000人に1人の割合ですが、高学年になると約80人に1人まで急上昇しています。
【小学生が遭遇したインターネットトラブルの内訳】
出典:HOME ALSOK研究所 アンケ―ト結果より
トラブルの内容でもっとも多かったのは、「ネット内いじめの加害者または被害者となった」で72.6%と大部分を占めています。次いで多かったのが「親の許可なく課金をしてしまった」ですが、6.0%と割合はかなり少なく、小学生のネットトラブルのうち、ネット内でのいじめがいかに多くを占めているかがわかるでしょう。本調査では、小学生はSNSを利用している際に知らないうちにいじめに巻き込まれたり加担してしまったりすることが多いことがわかりました。
SNSは1対1ではなく1対多のコミュニケーションなので、利用には細心の注意が必要です。また、冒頭でもご紹介した通り、近年、小学生が犯罪の被害者となってしまう状況が急増しています。SNSを通じて不審者と接触してしまい、脅迫や誘拐といった事件に発展するということもありえるので十分な注意が必要です。
か顔がはっきりうつっていないか
悪意を持った人に狙われるきっかけになる。また、肖像を勝手に使用されるリスクがある。
き禁止されていることではないか
著作権、肖像権等のルールについて知り、違反しないよう注意する。親と交わした約束を破るのもいけない。
く暮らしている場所が知られてしまわないか
住所はもちろん、自分の生活圏が知られてしまう情報を載せない。写真に写りこんだ背景にも注意。
けケータイ番号など連絡先を教えても大丈夫か
自分の連絡先を知らない人に教えたり、公開してはいけない。これらを騙し取ろうとする罠もあるので注意。
こ困らせたり、迷惑がかかったりしないか
書き込むことで、誰かを困らせたり、迷惑がかかってしまわないかよく考える。場合によっては炎上などのトラブルに発展する危険もある。
こんなメッセージがきたときは、相手にしないで、おうちの人に相談しよう
あ会おうといってきた
インターネット上で知り合った人と子供だけで会うことはとても危険。犯罪やトラブルにつながりやすい。
くクリックさせようとしてきた
メッセージ内のURLや添付ファイルには、有害なものもある。安易にクリック(タップ)するのは危険。
ま回すようにいってきた
チェーンメールなどは友だちに回さない。悪質なURLやファイルが含まれていたら、自分が加害者になってしまう。
が画像を送るようにいってきた
顔写真だけでなく、下着姿などを送信させられてしまう被害も。画像が他人の手に渡ると二度と消せなくなる。
で電話やメールをさせようとしてきた
代金支払い請求や、間違いメールを装った詐欺もあるので注意。連絡すると自分の連絡先が知られてしまう。
たタダであげるといってきた
うまい話で興味を引き、個人情報をだまし取ったりトラブルに巻き込もうとする罠に気をつける。
子どもをSNSなどのインターネット上のトラブルから守るために、保護者におすすめしたいのは「教育」と「セキュリティ」の二つの対策です。
「教育」とは、前述の「か・き・く・け・こ」のような、ネット上で情報発信をする際の心構えや、友人や知人のプライバシーへの配慮が大切なことを子どもに教えることです。また、ネット上のやり取りが友人関係のトラブルに発展しないように、メッセージを送る前に自分で読み返し、受け取った相手が嫌な気持ちにならないか考える癖をつけるのもおすすめです。
「セキュリティ」とは、URLフィルタリング・ペアレンタルコントロールを活用し、子どもが使用するインターネット端末が有害サイトへ接続しないように設定しましょう。また、いざというときのために親以外の相談先も確保しておくことが重要です。各自治体などが設置している相談窓口を親子であらかじめ共有しておきましょう。
SNSなどのインターネットサービスは日々進化し、各ツールの機能は目まぐるしいスピードでアップデートを繰り返しています。子どもにSNSの危険性を伝えるためには、子どもが使っているツールを一緒に使って機能を知り、子どもがどんな使い方をしているのかを理解する必要があります。そのほか、スマホデビューする前に、スマホの使い方やSNSのマナーがわかる漫画を子どもに薦めるのもいいかもしれません。
インターネットの普及と進化により、子どもたちを取り巻く環境や、コミュニケーションの取り方は大きく変化しています。私たち大人は、多様化する犯罪の手口をしっかりとキャッチして子どもに伝え、子どもがトラブルに遭遇した際に相談しやすい環境を整えることで、SNSトラブルから子どもを守っていきたいですね。
おまけ:
マンガでわかる! 小学生のためのスマホ・SNS防犯ガイド
監修: 佐々木成三
出版社: 主婦と生活社
参考:HOMEALSOK研究所、総務省、警察庁