KATEKYO知恵袋
小学生の不登校に向き合う保護者のための対応ガイドと家庭教師活用法
2025年02月05日
文部科学省が2024年10月31日に発表した「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、2023年度の小学生不登校児童数は13万370人で、前年度から2万5,258人(24.0%)増加し、過去最多を更新しました。また、小学生全体に占める不登校児童の割合は2.14%となっています。
小学生の不登校者数の急増の要因は、コロナ禍による生活環境の変化、若年層のデジタル機器利用の増加、そして家庭や学校でのストレスが影響していると考えられます。特に小学生の場合、学習習慣の崩れや、友人関係のトラブルが大きな引き金となるケースが多いようです。小学生の不登校は増加傾向にあり、社会全体での対応が必要とされる状況です。そこで今回は、小学生の不登校の要因や支援策、子どもが不登校になったときの保護者の対応と不登校時の家庭教師・塾の活用方法をご紹介します。
文部科学省では、不登校を次のように定義しています。
「何らかの心理的、情緒的、身体的、または社会的要因・背景により、年間30日以上欠席している児童生徒」
ただし、病気や経済的理由による欠席は含みません。
- 学業の遅れによる自信喪失
- 友人関係のトラブル(いじめや孤立など)
- 家庭環境の変化(親の離婚や転居など)
- 学校生活に対する不安やプレッシャー
小学生期の不登校は、家庭や学校での環境が子どもに与える影響が大きく、早期の対応が必要です。不登校は単なる「わがまま」や「甘え」ではなく、子どもの心身のSOSであることを理解することが大切です。
不登校の小学生を支援するため、国や自治体は以下のような対策を提供しています。
① 教育支援センター(適応指導教室)
自治体が運営する施設で、不登校児童が少人数で学習したり、専門家のサポートを受けたりする場を提供します。安心して通える環境が整っており、子どもが社会性や学習意欲を取り戻すのに役立ちます。
② スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置
多くの小学校には、専門のカウンセラーやソーシャルワーカーが配置され、子どもや保護者の相談に応じています。心理的な不安やトラブルの解決に向けたサポートが受けられます。
③ フリースクールの活用
学校以外の学びの場として、フリースクールを利用することも選択肢です。一部の自治体では、利用費用の補助を行っています。
④ 家庭教育支援
保護者を対象とした家庭教育講座や相談窓口が設けられています。適切な対応方法や不登校の知識を学ぶことで、家庭での支援がしやすくなります。
⑤ オンライン学習支援
インターネットを利用した学びの場が広がっています。自宅で安心して学習を続けられる環境を整えることができます。
子どもが「学校に行きたくない」と言い始めたとき、保護者がどのように対応するかが非常に重要です。次のステップを参考にしてください。
① 子どもの気持ちを受け止める
- 「なぜ行かないの?」と問い詰めたり叱責したりするのではなく、子どもの気持ちに寄り添いましょう。
- 「どうしたの?」と優しく尋ね、「行きたくないのには理由があるんだね」と共感する姿勢が大切です。
② 理由を探る
- 子どもが行きたくない理由を聞き出すために、日常的な会話を増やしましょう。
- 学校生活での困りごとや、友人関係、教師とのやり取りなど、具体的な原因を一緒に探りましょう。
③ 学校や専門家と連携する
- 学校の担任やスクールカウンセラーに相談し、子どもの状況を共有しましょう。
- 必要であれば、教育支援センターや地域の相談窓口を利用しましょう。
④ 小さな一歩を目指す
- 学校復帰を目標に焦るのではなく、まずは子どもが安心して過ごせる環境を作りましょう。
- 登校を再開する際も、最初は登校の時間を短縮したり、週に1回の登校から始めるなど、段階的に学校生活に慣らしていきましょう。
⑤ 家庭環境を見直す
- 家庭内での安心感が子どもの心の安定につながります。叱るよりも、リラックスできる時間を提供しましょう。
- 規則正しい生活リズムを取り戻すように、睡眠や食事の管理を工夫してください。
⑥ 外部の学びを活用する
- フリースクールやオンライン学習を活用し、学校以外で学ぶ選択肢を検討しましょう。
- 子どもの好きな活動や趣味を通じて、学ぶ意欲を取り戻すことも有効です。
不登校の子どもにとって、家庭教師や個別指導塾の活用は学習面の支えだけでなく、生活習慣を整えるきっかけになったり、家族以外と話して気分転換になったりと、心の支えにもなる重要な選択肢です。以下では、その具体的なメリットとポイントを解説します。
① 学校の代替としての学びの場
家庭教師や個別指導塾は、学校とは異なる学びの場を提供します。少人数制やマンツーマンの指導を受けることで、学業の遅れを取り戻しやすくなります。
② 子どもに合わせたカリキュラム
家庭教師や個別指導塾では、子どもの学力やペースに合わせたカリキュラムを設定します。無理なく学習を進められるため、不安やストレスを軽減しながら成長を促します。
③ 安心できる環境での学習
不登校の背景には、学校生活への不安や人間関係のトラブルがあることが多いです。家庭教師や個別指導塾は、安心できる環境を提供し、子どもの自己肯定感を高めるサポートを行います。
④ 規則正しい生活リズムの形成
家庭教師や塾の利用を通じて、日々の学習習慣を整え、生活リズムを取り戻すきっかけとなります。
⑤ 家庭教師の柔軟性
家庭教師の場合、子どもの体調や気分に合わせた柔軟なスケジュールで学習を進められます。また、自宅での学習が可能なため、外出に抵抗がある子どもにも適しています。
⑥ 心の支えとしての存在
個別指導型の学びの場では、教師や塾講師が子どもの相談相手になることも少なくありません。子どもが安心して心を開ける存在がいることが、心の回復にもつながります。
- 信頼できる講師を選ぶ:
子どもの性格や学力に合った講師を選ぶことが重要です。
- 子どもの意向を尊重する:
子ども自身が納得して取り組むことで、効果が高まります。
- 保護者との連携を密に:
学習状況や子どもの様子を共有しながら、適切なサポートを行いましょう。
家庭教師や個別指導塾を含めた多様な選択肢を活用することで、不登校の子どもは自分のペースで成長することができます。不登校になったらそこで終わりではなく、新たな道を模索するスタート地点に立った捉え、保護者は柔軟な考え方で子どもを支え、焦らずに、一緒に次の一歩を歩んでいきましょう。
以上、今回は増加する小学生の不登校の現状と、国・自治体の支援策、保護者の対応方法などをご紹介してきました。このコラムが、小学生の不登校に悩む保護者の助けとなれば幸いです。