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生存確率0.01%!絶滅の歴史からみる生き残りのヒント(前編)

2022年06月22日

いまからおよそ40億年前。地球上での命のはじまりは、海の中で偶然生まれた、たったひとつの細胞でした。

そこから今まで、数えきれないくらい多くの種類の生き物が生まれ、絶滅してきました。絶滅とは、その種類の生き物がこの世から1匹残らず消えることです。

 

なんと、地球上に生まれた生き物のうち99.9%の種が絶滅しています。そのほとんどは、地球で急激な環境変化が起こった際に、生き物がどうがんばっても生き残れない状況に見舞われ、たくさんの種が一斉に絶滅した為と言われています。こういった理由で生き物が一斉に絶滅することを「大絶滅」と言います。

 

地球上では何度も大絶滅が繰り返されてきましたが、今までのところ、すべての種が完全に途絶えたことはありません。ほんのわずかに生き残った種が進化し、また次の命を育んできたからこそ、いま、私たちが生きているのです。

 

地球環境の劇的な変化が絶滅のもっとも大きな原因であることをお伝えしてきましたが、私たち人間が原因となって絶滅した生き物もいます。ここからは反省と謝罪の意も込めて、人間が原因となって絶滅してしまった生き物たちの例を紹介します。

陳謝!人間のせいで絶滅してしまった生き物たち
「やさしすぎて絶滅」ステラーカイギュウ

絶滅年代:1768年

大きさ:体長8m

生息地:北太平洋

食べ物:海藻

大型化したジュゴンの仲間。歯を持たず、海藻を歯茎でかみちぎって食べていた。

群れで行動し、仲間が攻撃されると集まってきて守ろうとする性質があったため、人間につかまりやすく、人間が獲りはじめてからわずか27年で絶滅してしまった。

「美しすぎて絶滅」ブルーバック

絶滅年代:1800年頃

大きさ:体長2m

生息地:南アフリカ

食べ物:草

ほ乳類ではとても珍しい、青色の毛に覆われた鹿のような風貌だった。

南アフリカの草原で草を食べて暮らしていたが、草原に木が生えはじめ、住む場所が減っていった。そこへ、金・ダイヤモンドの採掘にやってきた人間が美しい毛皮を目当てに狩りはじめ、120年ほどで絶滅してしまった。アフリカにおいて、人間が滅ぼした初めての大型動物とされる。

「無敵だったのに絶滅」ジャイアントモア

絶滅年代:16世紀頃

大きさ:体長3.6m

生息地:ニュージーランド

食べ物:小枝や葉

足の長さだけで2mある大型鳥類。見た目は大きいガチョウのようにも見える。

体重は230㎏に達し、コウモリ以外のほ乳類がいなかったニュージーランドでは、陸で一番大きい動物だった。まさに無敵の存在だったが、敵がいないので飛ぶ必要がなかったために翼もなくなり、歯もなかった。そのため、食べたものを消化するために石を飲み込んで胃の中で植物をすりつぶしていた。9~10世紀に人間がやってくると食用目的で狩られるようになり、絶滅してしまった。

 

直接人間が狩る以外にも、自然の生態系が成り立っていた土地に人間が移り住むことで家畜やペットなどを持ち込み、その土地に元々いた在来種が絶滅したケースも多くあるようです。

現在の生き物を取り巻く環境

冒頭で紹介したように、生き物の絶滅の大きな原因は氷河期や隕石の落下など、地球環境の大きな変化です。けれども、現代ではそのような急激な環境の変化はあまり思い当たらないように思います。しかし、2021年に発表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、なんと13万8000種もの生き物が絶滅危惧種として評価されています。なぜこんなにも多くの生き物が絶滅の危機にさらされているのでしょうか。それには複数の要因が関係していますが、その一部を見てみましょう。

森林の伐採や開発

経済の成長に伴い、森林を伐採し原野を切り開いたり、干潟を埋め立てたりなど、開発を優先してきたために生き物のすみかが奪われている。

温暖化による地球環境の変化

自動車や飛行機の使用、発電、ごみの焼却などで発生する温室効果ガスの増加により地球の温暖化が進行。北極や南極の氷が溶けて水位が上昇することで生き物が住む場所を失い、高温・熱波・大雨などの極端な異常気象も起こりやすくなっている。

乱獲や密猟

珍しい生き物をペットにしたい、はく製や毛皮、漢方薬の材料に使いたいなどの目的で、生き物が高額に売買されることが原因となり、乱獲や密猟が後を絶たず、生き物の個体数を減らしている。

外来種の繁殖

本来そこに生息していなかった外来種の生き物が人間により持ち込まれるなどの理由で、

元々そこにいた在来種の生き物を食べてしまったり、すみかを奪ったりすることで在来種の減少を招いている。

 

 

このように、野生動物を取り巻く環境は厳しいですが、私たち人間もこの状況にただ手をこまねいているだけではありません。先ほど紹介したIUCNをはじめ、日本でも環境省や地方公共団体、NGOなどが絶滅の可能性のある生き物のリストを作成し、保護活動を行っています。レッドリストに載っている生き物の中には、実は私たちが気軽に目にすることができる生き物も多くいます。ここで、その一部を見てみましょう。

動物園や水族館の人気者も!絶滅危惧種の生き物たち

・ラッコ

生息地域:北海道周辺の海域

 

・ジュゴン

生息地域:沖縄周辺の海域

 

・ジャイアントパンダ

生息地域:中国中西部・チベット東部

 

・チンパンジー

生息地域:西・中央アフリカ周辺

 

・アジアゾウ

生息地域:南アジア~東南アジア

 

・ホッキョクグマ

生息地域:北極圏

 

・レッサーパンダ

生息地域:ミャンマー北部~ヒマラヤ南東部

 

 

いかがですか?私たちが動物園や水族館でよく見る生き物もいるので“え⁉この動物も絶滅危惧種?”と驚かれたでしょうか。身近に感じられる生き物に絶滅の危険があるのを不思議に感じる人もいるかもしれませんね。実は動物園や水族館は、私たちに生き物の生態を見せてくれる場所というだけではなく、「種の保存」という社会的役割があり、そのための調査や研究を行う場所でもあるのです。

絶滅危惧種を守ろう!私たちにできること

絶滅危惧種を守るための保護活動が日本や世界で行われていることをお伝えしてきましたが、野生の生き物を守るには、私たち個人がどのように行動するかが重要です。

最後に、子どもでも大人でも、今日からできる野生の生き物を守る方法を紹介します。

自然の生態系を保とう!

・野生の生き物に餌を与えない。

・ペットや外来種を自然の中に捨てない。

・動物や植物を海外から持ち込まない。

・森・川・海などへ遊びに出かけたときのごみは必ず持ち帰る。

力をあわせて温暖化の進行を食い止めよう!

・使っていない部屋の電気を消したり、暖房・冷房の設定温度に気を配ったりして節電を心掛ける。

・不要な物を買わず、物を大切に長く使うことで、できるだけごみを出さないようにする。

・食品は使い切るように意識し、フードロスを出さないようにする。

 

 

地球の豊かな資源は、決して人間だけのものではありません。人間もほかの生き物も、同じ星に生きる仲間として、互いが心地よく生きられるように尊重し、また、地球を次の世代に受け渡せるように大切にしていきたいですね。

 

以上、今回は生き物の絶滅の歴史と現在の生き物を取り巻く環境、生き物を守る活動について紹介しました。次回、後編では絶滅から学ぶ生き残りのヒントや、地球環境の保護と人類存続のための世界規模の取り組みを紹介します。

 

 

 

参考図書:

ダイヤモンド社「わけあって絶滅しました。-世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑」監修 今泉忠明

参考サイト:エコチルWEBマガジン

参考サイト:関西電力

 

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