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あの世とこの世が急接近⁉秋分の日とお彼岸の関係
2022年09月21日
9月23日は秋分の日です。秋分の日といえばお墓参りに行く祝日のイメージがありますが、実は、秋分の日は天文計算によって決められるので毎年同じ日とは限らないのを知っていますか?今回は、なぜ秋分の日が祝日なのか、なぜお墓参りに行くのかなど、秋分の日とお彼岸の関係をみていきましょう。
秋分、春分、夏至といった言葉を聞いたことはありますか?これらは皆、二十四節気(にじゅうしせっき)という季節を表す言葉の一種です。二十四節気とは、中国で戦国時代の頃に考案された暦のようなもので、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、節気(せっき)と中気(ちゅうき)に分類され、それらに季節を表す名前がつけられています。
農業が暮らしの中心だった昔の日本でも二十四節気が取り入れられ、農作業の目安として役立てられてきました。
では、秋分とはどんな日のことを示すのでしょうか?
秋分とは、天文学的に、地上から見た太陽の角度が「秋分点」というポイントに来たときのことで、この秋分点を太陽が通る日を毎年、秋分の日としています。秋分点を太陽が通る日、太陽は真東から昇って真西に沈むため、昼と夜の長さが同じになります。
秋分より前は昼が長く夜が短く、秋分よりあとになると、昼が短く夜が長くなります。
つまり、秋分の日を境に日の出の時間がだんだんと遅くなっていき、日の入りの時間がだんだん短くなっていくのです。そのため、秋分は夏から秋へ変わる分岐点ともいえます。
ちなみに、秋分の逆パターンで日の入り時間が遅くなっていく分かれ目が春分の日です。
秋分の日にお墓参りに行く風習が始まったのはいつ頃からでしょうか?
現在日本で行われているお彼岸という風習は、正式には「彼岸会(ひがんえ)」という仏教行事で、海外の仏教徒の間では行われていない日本特有のものです。日本で最初に行われたのは平安時代初期で、江戸時代になってからは広く庶民の間にも、毎年行う行事として定着しました。
彼岸という言葉はサンスクリット語に由来し、直訳すると「向こう岸」という意味です。日本に仏教が伝来すると、彼岸を「あの世」「極楽浄土」と解釈するようになりました。
あの世・極楽浄土はこの世のはるか西にあると信じられていたため、太陽が真東から昇り、真西に沈む春分の日と秋分の日はあの世とこの世がもっとも近くなると考えられ、その日に彼岸会が行われるようになりました。
春分の日と秋分の日の供養には、この日にお墓参りをすることでご先祖様を近くに感じたいという昔の人の願いが込められていたのですね。
秋分の日はもともと、秋季皇霊祭という歴代の天皇や皇后、皇族の霊を祭る宮中祭祀のひとつでした。終戦後の1948年、秋季皇霊祭が廃止となり、変わって秋分の日が国民の祝日として制定されました。内閣府「国民の祝日について」の資料によると、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」と定められています。
皇族に限らず、すべての国民に自分たちのご先祖様に思いを馳せて故人を偲び、敬ってほしいという国の願いが、春分の日と秋分の日を祝日に制定した所以でしょうか。
墓所が遠方でなかなかお墓参りに行くことができない人もいるかもしれませんが、この日は心の中で語りかけるだけでもきっとご先祖様に届くことでしょう。年に二日しかない、あの世とこの世が急接近する日なのですから…。