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実は世界各地にあった!伝統格闘技「相撲」の起源と歴史について
2023年03月22日
日本の国技ともいわれる「相撲」ですが、実は「相撲」と名の付く格闘技や、よく似た形態の格闘技が、古来より世界各地で行われていることを知っていますか?今回は、世界各地で伝統競技として人気の「相撲」について。その種類や、日本の「相撲」の起源・歴史についてご紹介していきます。
日本の相撲の歴史は非常に古く、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中に書かれている神様の力比べが起源であるといわれています。
その後、相撲は農作物の収穫を占う祭りの儀式として人間の間でも行われるようになり、300年続く宮廷儀式として引き継がれていきました。
【奈良時代】
記録に残る最古の例では奈良時代の734年から、七夕での宮廷行事の余興の一つとして「相撲節会(すまひのせちえ)」と呼ばれた相撲大会が行なわれていました。当時は土俵はなく、相手の体を地面に付かせた方が勝ちというものでした。
【平安時代】
平安時代、相撲は一年の収穫高を占う宮廷儀式として行われていました。神事として捉えられていたことから、神道との関係が深かったことがうかがえます。
【鎌倉~戦国時代】
鎌倉時代から戦国時代にかけては武家文化の時代でした。相撲は戦闘のための武士の体づくりの一環として活用され、「武家相撲」として盛んに行われました。とくに、織田信長は相撲を愛好し、各地から力士を集め、競わせて勝ち抜いた者を家臣として召し抱えたといわれています。
【江戸時代】
江戸時代に入ると浪人や力自慢の者の中から相撲を職業とする人たちが現れ、全国で勧進相撲が行われるようになりました。江戸時代中期には定期的に相撲が興行されるようになり、歌舞伎と並ぶ庶民の娯楽として浸透していきました。このときの興行が、現在の大相撲興行の原形になったといわれています。
【明治時代以降】
明治維新に行われた改革により相撲は一時廃業の危機に陥りました。しかし、天皇が相撲を見る「天覧相撲」を行い、再び「神事」としての意味合いを持たせることで、無事に危機を乗り越えました。1925年には、幕内優勝者に天皇賜杯が授与されるようになり、同年日本相撲協会が誕生。現在でも神事としての意味合いを引き継ぎ、毎年の地方巡業は伊勢神宮での奉納相撲から始まります。
ここまで、日本の相撲の起源と歴史をご紹介しました。ここからは、世界の相撲に目を向けてみましょう。
海外にも、日本の相撲とよく似た格闘技がたくさんあります。アジアだけでなくメキシコ、ヨーロッパまで及び、その数は50種類以上になります。
世界各地にある相撲もしくは同類の格闘技の例をご紹介します。
【アジア地域】
朝鮮半島:シルム
ブータン:ブータン相撲
ネパール:ネパール相撲
トルコ:ヤールギュレシ
インド:クシュティ
【アフリカ地域】
エジプト:ヌビア相撲
ガンビア:ガンビア相撲
カメルーン:ドゥアラ相撲
【アメリカ地域】
メキシコ:ルチャ・タラウマラ
キューバ:ルチャ・デル・トレーテ
【オセアニア地域】
キリバス:カウンラバタ
【ヨーロッパ地域】
スペイン:カナリア相撲
ブルガリア:ブルガリア相撲
ハンガリー:ハンガリー相撲
セルビア:ナロードノ・ルヴァンニェ
オーストリア:ランゲルン
オランダ:ボルステル
スイス:シュビンゲン
フランス:グーラン
イギリス:ランカシャーレスリング その他
世界にはこんなにたくさんの相撲の仲間があるのですね。一方で、日本の相撲も世界的に知名度を得ています。新型コロナ流行以前まで毎年開催されていた「世界相撲選手権大会」では、大会開催当初の優勝者は日本やモンゴルなどアジア勢が占めていましたが、年を追うごとにドイツ・ブラジル・ポーランドなど、さまざまな国の選手が優勝を勝ち取るようになり、日本の相撲が世界に広がっていることが感じられます。
ところで、現在の日本で私たちが身近に感じる相撲といえば、神事や競技としての相撲ではなく、やはり、興行として行われる「大相撲」ではないでしょうか?では、大相撲で活躍する力士になりたい場合はどのような入口があるのか、なり方と条件をみてみましょう。
大相撲で活躍する力士になるには、毎回の本場所直前に行われる「新弟子検査」に合格する必要があります。検査に合格すれば、合格した場所(外国出身者は合格の翌場所)の前相撲から相撲をとることができます。
新弟子検査を受けるにあたり、基本となる資格は下記の通りです。
義務教育を修了した健康な男子で、所定の身長・体重の基準(*)を満たし、一般は23歳未満、日本相撲協会が指定している社会人や大学のアマチュア大会で一定の成績を残した人については25歳未満であること。
*身長・体重の基準(平成27年5月末日現在)
・身長167センチ以上
・体重67キロ以上
ただし、三月場所新弟子検査受検者で、中学校卒業見込者に限り
・身長165センチ以上
・体重65キロ以上
新弟子検査を受ける際は、所属したい部屋の師匠となる年寄(親方)を通じて、日本相撲協会に規定された必要な書類を添えて力士検査届を提出します。さらに、日本相撲協会が指定する医師の健康診断ならびに新弟子検査に合格し、日本相撲協会に登録されてはじめて力士として認められます。
体格だけでなく、アマチュア大会での実績があると評価されるようですので、力士を目指す方はできるだけ若いうちから相撲を始めた方がよさそうですね。
最後に、相撲の豆知識として番付(ばんづけ)についてご紹介します。
その場所に出場する力士や在籍する年寄・行司らを1枚の紙に、階級別に一覧にしたものが番付です。いつ頃から作られていたかは定かではありませんが、遅くとも元禄年間(1688年~1704年)には板番付(木の板に墨書した番付)を興行場入口に掲げていたことが分かっています。紙に刷られた形で現存する最古の番付は、正徳年間(1711年~1716年)と推定されます。
番付の原本は毎場所、行司の手書きによって作成されます。行司は番付の他にも、顔ぶれ(幕内の各取組を書いた紙)や巡業会場の案内、宿割りなど、さまざまな場面の筆書きを担当しています。番付は独特の「相撲字」といわれる太文字で書かれていて、太く隙間なく書くことで「お客様が会場に隙間なく入るように」という意味が込められています。大入りの願いが込められた太文字に、縁起のおすそ分けをいただけそうですね。
以上、今回は日本の相撲と世界の相撲について、ご紹介しました。
相撲以外にも、日本だけの文化だと思っていたことが海外にもあるかもしれません。あなたの興味があるモノ・コトについて、調べてみてはいかがでしょうか?
参考:HALF TIME,日本相撲協会, Wikipedia